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【トラ技ジュニア検定② 正答と解説】回路図を読み解く! OPアンプと抵抗2本で作る反転/非反転増幅回路

【トラ技ジュニア検定② 正答と解説】回路図を読み解く! OPアンプと抵抗2本で作る反転/非反転増幅回路

トラ技ジュニア No.45(2021年春号)p.39に掲載した「【トラ技ジュニア検定②】回路図を読み解く! OPアンプと抵抗2本で作る反転/非反転増幅回路」の解答を掲載します.
問題文および図については,誌面にてご確認ください.

宮崎 仁

[正解]

[解説]

 反転増幅回路と非反転増幅回路に共通する性質は,次のとおりです.

(1)直流電圧も交流電圧も増幅できる(周波数の上限はOPアンプの特性で決まる)
(2)0Vを含む正負の電圧を精度良く増幅できる(オフセット誤差が小さい)
(3)増幅率は外付け抵抗によって精度良く設定できる(ゲイン誤差が小さい)
(4)出力電流が変動しても出力電圧は変動しにくい(低出力インピーダンス)

などが挙げられます.

 一方,反転増幅回路と非反転増幅回路で異なる性質としては,

(5)入力電圧と出力電圧の正負が,反転増幅回路は反転するが,非反転増幅回路は反転しない
(6)増幅率の大きさAが,反転増幅回路では抵抗比R2/R1 そのものなのに対して,非反転増幅回路ではそれに1を加えた1+R2/R1となる
(7)この(6)の性質から,反転増幅回路の増幅率は1より小さくも大きくもできるが,非反転増幅回路の増幅率は1より必ず大きくなる
(8)反転増幅回路は入力電圧に比例する入力電流が流れる(低入力インピーダンス)が,非反転増幅回路はほとんど入力電流が流れない(高入力インピーダンス)
(9)反転増幅回路は入力電圧が変化してもOPアンプの反転入力ピン(IN-)の電圧がほぼ0Vに保たれる(仮想接地)が,非反転増幅回路は入力電圧がOPアンプの非反転入力ピン(IN+)に直接入力され,反転入力ピン(IN-)の電圧も非反転入力ピン(IN+)と同じ電圧を保つように変化する(仮想短絡)

などが挙げられます.

 問題の選択肢を見ていきましょう.

 アは(6)の性質,イは(4)の性質,ウは(8)の性質,エは(9)の性質を記述したものです.

 ア,イ,エはそれぞれ正しい記述となります.
 ウは反転増幅回路,非反転増幅回路はともに高入力インピーダンスであると述べていますが,これは誤りです.正しくは反転増幅回路は低入力インピーダンス,非反転増幅回路は高入力インピーダンスです.

 

図1 OPアンプによる反転増幅回路の例

 

図2 OPアンプによる非反転増幅回路の例