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トラ技Jr.

お菓子を製造する機械の電気設備設計というお仕事

お菓子を製造する機械の電気設備設計というお仕事

(株)マスダックマシナリー 生産本部 川瀬 輝雄

●お菓子職人さんの絶妙な感覚を機械で再現!

 私は,どら焼きやシュークリームといったお菓子の生産に使われる機械・設備の電気制御を行っています.制御盤や機内配線経路などのハード設計に加えて,制御盤内のコントローラに実装する制御プログラムやタッチパネル画面のソフトウェアも設計しています.

 お菓子の材料は毎日同じものを使って作っていても,成分が微妙に違ったりします.例えば,夏はニワトリが水をよく飲むので卵の水分量が多かったりします.小麦粉の産地が違うだけでもまったく同じ味にならないこともあります.

 個人商店のお菓子職人さんたちは,品質を安定させるために,焼き加減を調節したり,生地を絞る力を加減したりして日々の変化に対応しています.これを機械化する際は「誰もが簡単な操作でお菓子作りに必要なパラメータを微調整できる」ようにすることが絶対条件になります.

●工場内の作業を想像して機械やシステムを設計する

 写真1に示すトンネル・オーブンは,コンベヤ上の製品がオーブンの炉の中を通過することで,連続的に生産できます.菓子用のガスオーブンは,ベーカリで使われるような高出力のバーナで一気に焼き上げるのではなく,1/5程度の小さくやわらかい炎が燃焼するバーナを多数配置しています.

 

 

写真1 設計・開発に携わった「トンネル・オーブン」 職人さんの絶妙な火加減調整を再現してお菓子を焼き上げる

 

 1本1本のバーナを微調整する機械オペレータが,最適解にたどり着きやすいように,事前に6種類もの想定着火パターン・プログラムを準備しました.また,操作を直感的にするためにタッチパネル式にしました(写真2).

 

写真2 設定操作パネル 機械オペレータが使いやすいようにユーザ・インターフェースをタッチパネル式にした

 

[本記事は,トラ技ジュニア No.41(2020年春号)に掲載されたものであり,筆者の肩書き等は執筆当時のものです]